キャベツは至る所に

感想文、小説、日記、キャベツ、まじめ twitter ⇒ @kanran

日記4/7

■ U-NEXTが電子書籍販売のみならず、話読み単位のマンガ配信も始めてだいぶ経つ。 Twitterなどでものべつ書いてきたことだが、2018年ごろから去年に至るまで「家を取り壊すからゆくゆくは引っ越すけど、急ぐ必要はない」という前提で暮らしており、無軌道に…

日記3/18

■ 明日『gift』を観に行くので、やっと『ドライブ・マイ・カー』を観た。カメラが誰のまなざしであるかとか、映画を観る自分たちのまなざしがむしろカメラによって撹乱させられているとか、そういうことを感じながら映画を観るのは本当に楽しいが、『ドライ…

日記3/9

■ 去年『オッド・ピーシズ』という短編小説集を作った。急に文学フリマに出ることが決まったので、それに合わせて新刊を作ろうと思ったのだった。「新しく本を作りたい」「気に入っている既存作品をまとめたい」という気持ちの他に、「短編をたくさん作るこ…

はみ出し甘藍随想-2

前 ⇒ はみ出し甘藍随想-1 - キャベツは至る所に 前章であれだけ書いたが、別にファミコン・スーファミは、バンプレスト作品を遊ぶためだけのもの――つまりバンダイの作品へ接続するための装置というわけではなかった。他のソフトだってたくさん遊んでいた。90…

はみ出し甘藍随想-1

昨年(2023年)の文学フリマ東京37に出店した折、無料配布物として、ZINE『甘藍随想』を作った。中綴じコピー本にしようということだけ決めて、とりあえず主な関心事について思い付くまま、あえて細かく計画立てないまま書き続けた。そうしているうち、中綴…

『ジャスト・リッスン』

アコースティックギターに深いリバーブがかかっている。長く続く残響に合わせたゆっくりとした指弾きは、聴く側を焦らすほどなだらかな起伏しか描かないが、その退屈さすれすれの遅さに色気がある。一曲目の出だしで、こうも遅く、そして歌をなかなか入れず…

備忘録など

2020年、そして今年2022年と、小説集を作った。それまでに書いたものから、出来映えや文字数、内容を勘案して3本を選った『世界はいつも』。そして最近作2本を入れた『海の中のプール・空想』という2冊である。 作品の出来については、多分考えることは年々…

動画サブスク週記ー2

今週はわりあい仕事に時間を割かれたのと、本を読む時間が多くなったので、映画は全く観なかった。その代わり、生活の隙間にアニメを観ることが多かった。 「イデオン」を最後まで観た勢いで、並行気味に『宇宙戦士バルディオス』を観た。スパロボファンから…

動画サブスク週記-1

正確に言うと無料トライアル期間中だが、U-NEXTを契約した。観た映画の印象を書き残していく。批評やレビューよりとにかく印象を、という自己満足のためのエントリ。ネタバレにもそれほど頓着してません。

『夢九顆』

私、知り合いが出てくる夢も、人が死ぬ夢もあんまり見ないんですけど、その時は珍しく知り合いが死んだんです。私、なんでかずっと、申し訳なさそうにしてて。周りの人からも、あんまり気にしちゃだめだよ、とかって、気を遣われたりしてるんです。そういえ…

「最近死ぬことばかり考えてる」とは、冨樫義博のマンガ『レベルE』の作中に出てくるダイアローグの一部だが、ぼくも最近死ぬことばかり考えている。十代の中頃までに、身近な人物が自死することが二度あった。今でも誰かと親密になると、必ずその人の生き死…

映画と夢

最近、映画をよく観ている。 遠回りにはなるが通勤経路にあたる位置に、レンタルショップがある。家電量販店と同じ建物にあるロードサイド店舗だけあって店の面積がまあまあ広く、おっ、こんな作品も、と目を引かれるものが多く見つかる。大学時代、映画論の…

『夜々の泡』

夜遅いホームで電車を待ちながら、ヘッドフォンで音楽を聴いていたら、自分とこの曲しかこの世には残されていない、と思った。 家へ帰ろうとしている。電車は遅れなく、この駅に近づいてきている。それなのに、「どこか」も「誰か」もこの世にはもうなくて、…

なぜか関西-4

ホテルで長く過ごしているうちに、会話の節々でつい、ホテルを指して「うち(家)」と言ってしまうようになった。まあこれは習慣の積み重ねによる素朴な変化だと思ったが、ルームキーのインロックをして初めて、自分の感覚がホテルを家と捉え始めていること…

なぜか関西-3

最近、音楽が全然聴けない。ノートパソコンとスマートフォンもあるので、ホテルにおいても、配信音源を買うことだって配信ライブを観ることだって出来る。ただ、そこに辿り着かない。正確に言うと、音楽を再生することはある。しかしそのとき聴くのは、それ…

なぜか関西-2

スマートフォンのGPSさえ使っていれば、旅先でも目的地に着ける。その頼りない自負は、梅田で仕事をするとなって簡単に打ちひしがれた。ホテルとオフィスを往復するために地下道を使うためだ。単純な往復の道のりだけなら簡単に覚えられたが、そこから外…

PICKY In thIs PandemIC - 3

← BACK TO PAGE 2 オ:何で今時、身銭を切って紙の本を刷るのかって話なんですけど……。今の情勢だからってのもあるんですけど、一回SNSから離れた所に自分の言葉を置いてみたい、っていうのがすごいあるんです。ぬるい交流だけ楽しむには、Twitterにしてもイ…

PICKY In thIs PandemIC - 2

← BACK TO PAGE 1 オ:今更なんですけど、マミヤさんって、どういう感じで飲食業界に入っていったんですか? マ:学生の時とかも、バイトは飲食のしかしてなくて。ラーメン屋とか居酒屋さんとか。食べることがまず好きだったから、美味しいものが作れるよう…

PICKY In thIs PandemIC - 1

このブログの管理人であるぼくことオオクマシュウと、久喜カフェクウワの店長であるマミヤジュンイチロウさんとの交流が生まれたのは、北浦和居酒屋ちどりのオープン間もない頃だった。浦和の酒飲みたちと共にちどりへ来ていたマミヤさんと初めてお会いして…

なぜか関西-1

数か月大阪に行くと話すと、次に会う時は関西弁だな、と言われた。一人ではなく、何人からか同じように。自分同様に大阪へ出張する人間としか、仕事の上での関わりがないと分かっていたので、そうはならないと思いますよと面白味のない受け答えをその都度し…

優しさと速さ

ウイルス感染を防ぐための措置だというのは分かるが、ワイドショーやバラエティのみならず、テレビドラマなどにおいても「キャストを別撮りして、あたかも登場人物たちがビデオ通話をしているように編集する」という演出が既に為され、放映されていることに…

走るべき人

あの人はどうして走っているのだろう、と思ったことがある。 先日、上野公園を歩いていて、走る人を見た時にそう思った。襟付きの長袖シャツを着て、スラックスと思しきものを穿いていた。日常的にハードな運動をしているような体型の人ではなく、小走りとい…

Somehow I Live

ある食べ物を好きであることに理由はなく、ある食べ物を嫌いであることには理由がある。理由がない/あるというか、なぜ嫌いかを説くための言葉は、なぜ好きかを説くための言葉よりも、その人の中に明確に存在する。「この食べ物が好き」という実感は、「お…

来年まで生きていたい日記(Rising Sun Rock Festival 2019 旅程)

8月15日 木曜日。5時前ごろ起床、薄曇り。用意しておいた服に着替え、買っておいたランチパック食べ荷物担いで出る。駅へ。車内でジャレド・ダイアモンド『銃、病原菌、鉄』上巻・草思社文庫よむが、頭しゃっきりせずあんまり入ってこない。 東京メトロ…

書く脳

体育科教育の先生によれば「運動ができるから体育の先生を目指す学生たちに、いかに『運動が苦手』『そもそもできない』人の存在を捉えさせる」のかが重要な命題だそう。国語科教育はどうか。「言葉ができない人」という、自己の領域のディスアビリティの存…

butaji『告白』

何度聴いても、このアルバムは聴きたくなかった、という想いが拭い切れない。ためらいはあるが、この感情を「聴きたくなかった」という言葉以外で書くことができずにいる。 butajiのライブを観始めたのは2015年、最初は3月の北千住カブでのことだった。当時…

境界より - From This Boundary -

今晩開催されました、butaji × よしむらひらく 2マンライブ『POPS』のフライヤーに載せた文章です。 butajiの歌は遠くを想わせる。ありふれているけれどこの目で見たことのないものがあるのを思い知らされて、私たちのまなざしは遥か彼方へ向けられる――ユー…

5月13日に良いライブがあるので

5月13日(日)に、北浦和・居酒屋ちどりにてライブがある。自分が企画しておいて何だが、すごく良い組み合わせ、すごく会場に映える人たちのライブである。トンカツこと二宮友和と、夜久一(やくはじめ)の弾き語り2マン。フライヤーを友人知人に渡した…

『The Monthly Delights』についてとか

ぼくと浦和や北浦和で会ったことのない人には、読むのに根気のいる文章になってしまいそうだが、構わず書いてみようと思う。 けんさんとクークーバードという酒場で出会ってから、まだ3年経っていない。記憶力は良い方だが、初めて会った時のことやその時に…

高橋弘希『日曜日の人々(サンデー・ピープル)』を読んでいる。今ぼくの周囲にいる中で、本を多く読んでいることが最も明らかである友人が激賞していたので、これは読んでみようと手に取ったのだが、すばらしい。 まだ読み終えてはおらず、中盤を過ぎたかと…