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キャベツは至る所に

感想文、小説、日記、キャベツ、まじめ twitter ⇒ @kanran

今年観に行ったライブで特に素晴らしかったもの

音楽

Twitterで何度も言っているが、今年は「これを観ただけで、生きていて良かったと言える」というライブに毎月のように行けたので、大変充実していたというか、今年は「もう年末?!」みたいな驚きが例年より薄い。備忘のために、そういったライブについてザッとまとめたいと思う。

Alfred Beach Sandal@渋谷WWW

1月9日。詳しい感想については別エントリ(Alfred Beach Sandal について - 花火世界)をご参照ください。
今年一番うれしかったことは、このエントリについて褒めてくださる方が何人もいたことです。久しぶりに自分の感動を乗せた文章が書けたと思っていたので、なおのことうれしかった。ビーサンは今年何度か観られたけれど、観るたびバンドとして成熟していく感じがたまらないので、これからも追いかけていきたい。
それから、同じ月にceroのワンマンを観られたのもよかった。(原因不明のトラブルで)メルツバウばりの轟音ノイズを聴けたのが懐かしい。別エントリでも少し触れたけど、ビーサンceroの音楽は、全然別種だけれど接続したものとして聴いている。二組のワンマンを続けざまに観られたことは特別な感じがした。

石橋英子 × 高木正勝 @渋谷WWW

2月26日。高木正勝さんのファンである先輩から、余ってしまったチケットを買って。本当にありがとうございました。石橋英子を生で観たのはPANIC SMILE在籍時と「もう死んだ人たち」名義の時だけ。ピアノソロで観た今回が一番好きだった。弾けば弾くほど静かになっていくように感じられて、今まで聴いたどんなピアノとも違っていた。
高木正勝は『Private Drawing』とかみたいな電子音楽の印象が強かったのだが、先輩の「最近はピアノの仙人みたい」という表現が的を射ていた。「何やるか決めてない」「最近ピアノ弾いてない」とうそぶきながら鍵盤を叩き、何かキーを見つけた途端曲を弾き始める模様は、ピアノを弾いているというより、ピアノから出る音で草花を芽吹かせるとか風を起こすとか、そういうイメージを持たされた。聴くというより浴びるしかない感じ。youtubeなどにご自身が上げておられる動画で、その雰囲気の片鱗は見られると思う。
『エイトメロディーズ』を少し弾いてくれたのもうれしかった。今まで聴いた中で、一番小さく一番凛とした『エイトメロディーズ』だった。

梅津和時 with 七尾旅人&青葉市子 @新宿PIT INN

3月27日。何より印象に残っているのは、七尾旅人と青葉市子が、旅人さんの『エンゼル・コール』をデュエットしたこと。「そうだよ 天使なんだった」で旅人さんが上をハモったのを聴いた時、全身が痺れたのを今でも思い出す。市子ちゃんには、旅人さんの曲をもっとやってほしい。『天使がおりたつ前に』とか『横浜市立阿龍公園』とか、『線路沿い花吹雪』とかやってくれないかな。
リハなしぶっつけ本番でやったという梅津・青葉デュオもすばらしかった。市子ちゃんがほぼ原曲通りに弾き語りをして、そこに梅津さんが加わるだけなのだが、余分な付け足しが全くなかった。完成形に要素を加えているのに、風合いを損なわないまま複雑さが一段階増すというとんでもない技を見せつけられた。序盤、想定よりマイクのリバーブがかかりすぎている中、歌い方や口の位置でボーカルがくどくならないようにしている市子ちゃんの姿も忘れがたい。帰り道でタラ・ジェイン・オニールの来日中止が報じられてがっかりしていたけど、10月のトノフォンソロで観られて本当によかった……。
3月はBooked!で色々なミュージシャンを観られたのもよかった。ceroビーサン、ペトロールズ、Osrum、グッドラックヘイワ、slow beach、ROTH BART BARON、LAGITAGIDA……。

Tortoiseビルボード東京

5月8日。初めてのビルボードでめっちゃ緊張した。いざ行ってみると過ごしやすい所だった。
トータスを聴いていていつも思うことだけど、音色とかシーケンスとか、一つ一つはなんでもないパーツが使われているはずなのに、それを集合=楽曲そのものとして聴くと、今まで聴いたことがない気のする不思議な音楽として感じられる。ライブで観ているとそれが本当に顕著で、楽曲として耳に入ってくるそれが、メンバーそれぞれが楽器を鳴らしたことによる合奏であることが上手く理解できなかった。彼らには、それぞれの演奏が一つのチャンネルとして曲を組成しているという感覚はあるんだろうか? ものすごく面白かった。

土井玄臣 × yukaD @渋谷 公園通りクラシックス

6月14日。今年の初めから、本当に土井さんの『The Illuminated Nightingale』ばかり聴いていたので、久しぶりに会場に行く道中から、どきどきしっぱなしだった。yukaDさんもすばらしかったので、CDを買ったり、もう一度ライブを観たくて先日キチムへ行ったりした。が、楽しみにしていただけあって、とにかく土井さんの歌が聴けて幸せだった。(音源では)打ち込みの曲を弾き語りで聴いていると、この曲はギターで作られたのだろうとか想像できたし、曲ごとに表情を変えて歌う土井さんの、何というか演劇性みたいなものを目撃できたこともよかった。7月のカフェアリエでのライブにも行くことができ、関東に住みながら一年に二度も彼のライブを観られたのはまさに僥倖だった。
あの人の歌には優しさも惨たらしさも、豊かさも貧しさも、喜びも悲しみも含まれている。背反するものを同時に味わえるところに人間を感じて泣けてしまう。『歌にはそれが残る』は、今年ライブで聴いた曲の中で一番美しく、いま自分が最も愛すべきだと思う歌です。

空気公団 × キセル @渋谷WWW

7月3日。空気公団は3月のBooked!でも観ていたけど、メンバー全員が着席するスタイルなのにステージがフラットだから後ろの観客はメンバーの姿が見えないという微妙なセッティングだったので、ステージ全体が見えるだけで安心した。去年も書いたが、空気公団が好きだと言うと、「綺麗ではあるけど、イージーリスニングなだけじゃない?」という意の返事をされることが多い。でも『春愁秋思』〜『夜はそのまなざしの先に流れる』の空気公団は「綺麗すぎてトリップミュージック的でさえある」という域に達していると思う。この日もやはりそういう感じで。キセルは何回観ても豪史さんがどういうエフェクトをかけてどうやってギターを弾いているんだかよく分からなくて面白い。去年のライジング、深夜のボヘミアンで観た時は気持ちよすぎて爆睡してしまったので、ハッキリ起きて聴けてよかった。
空気公団の『夜の名前』は、キセルの原曲の柔らかさを保ちながら原曲ほど朗らかではない、最近の空気公団らしい、霜柱の鋭さによく似た冷たさと静けさを呑んでいる美しいカバーだった。ご兄弟と山崎ゆかりさんの3人でやった羅針盤の『羅針盤』も素晴らしかった。大好きな曲を大好きな人達がカバーして、また別の「大好き」を誘ってくれたことぐらいは、大げさに「奇跡」と呼ぶのを許してほしい。

METEO NIGHT 2014 FINAL @渋谷O-nest & O-west

8月2日−3日。デラシネをまたこの眼で観られたこと、しかもモッシュピットでぐしゃぐしゃになりながら観られたのは本当に最高だった。その他、メルツバウを最前列で聴けた、至近距離で浅野忠信を見た、イースタンの『夜明けの歌』で涙がこみ上げた、MOSTでまだ最後の曲じゃなかったのにカン違いして山本精一がギターを放り投げて一回ハケたなどなど、見どころは尽きなかった。二日目最後のPUNKU BOIのアクトは、もう帰った人が多いのか客席が空いていたのも含め、文化祭の後夜祭とかキャンプファイヤーのそれっぽい雰囲気だったのも忘れられない。

Rising Sun Rock Festival 2014

8月15日−16日(17日早朝)。レポートは当ブログの別エントリにまとめております。ベストアクトはOOIOOかな……。ライジングに行き始めて3年目だけど、今年は一番楽しかったかもしれない。

二階堂和美東京グローブ座

9月14日。フォロワーさんから、余ってしまったチケットを譲って頂いて。本当にありがとうございました。
久しぶりに『Lover's Rock』『脈拍』が聴けてうれしかったし、『愛の讃歌』までやってくれて感無量。3時間ぶっ通しのステージが終わった時には、ニカさんの放射するエネルギーを浴びすぎてパンチドランカーのようになってしまっていた。本当に素晴らしかった……。

ぐるぐる回る 2014 @埼玉スタジアム2002コンコース

9月15日。いろんなミュージシャンを観られて楽しかった。ライジングで見逃した、溺れたエビの検死報告書を観られたのも嬉しかったが、やはり初めてギターウルフを、しかも地元で観られたというのが感動的だった。「説明不要」「観れば分かる」みたいな評は好きではないけど、実際ギターウルフについては説明できる言葉を持てない。いや、やっていることはシンプルなんだから説明はできるんだけど、無粋なことしか言えない。
あと、Twitterで交流のある人たちが多数のめり込んでいるアイドルグループ、ゆるめるモ!を観られたのも収穫。今年の5月ごろからぼくはV6にハマっているのだが、ようなぴさんのポジショニングは三宅健くんのそれに通じるものがあると思った。アイドルという自分の立場に自覚的で、アイドル「らしさ」と「らしくなさ」を横断することにも自覚的で、なおかつそういう考えを、エンターテイメントの質を高めるために使おうとしている感じ。

StarFes '14 @幕張海浜公園

9月20日。エリカ・バドゥパブリック・エナミーNasといった、高校生のころ夢中で聴いていた人たちを続けざまに観られたことは、今でもちょっと現実離れしているように思われる。Nas『N.Y. State of mind』のパンチライン、「sleep is the cousin of death」を周りの観客と叫んだ時の高揚感は筆舌に尽くしがたい。

七尾旅人日本青年館

9月27日。賛否あるライブだったし、客席から窺える旅人さんの精神状態が明らかに平時のそれではなかったので、手放しに「すばらしかった!」と称賛できるものではなかったんだけど、綱渡りのように危ういステージングには実際スリルがあったし、初めて聴けた『ぼくらのひかり』は掛け値なしに名曲だと思えたし、旅人さんのライブになるべく行くようにしてもう5年ぐらいになるが、ついに『ガリバー2』を聴けたことも大切な記憶になった(原曲とは別物にしようという意思が感じられたのが、却ってよかった。あの人が1stや2ndを再現しようとするはずはないし、多分やっても実りはないだろう)。石橋英子さんの伴奏も素晴らしかった。テクニカルなことをやりながら、目立たず、主役を立てるように曲を彩る。
旅人さんは当日を迎える前から「七尾旅人を解散する」と宣言していて、やけのはらに「大気中に俺が散らばっていくイメージ」と説明していたが、その説明を聞いて小田ひで次の『拡散』というマンガを思い出した。一つ所に居続けて生きることができず、世界中に拡散してしまう人間の話。作者が「生と死の真中の0地点にビリビリ微振動しながら立ちつくしている」と表現したそういう生を、あの人も生きているのではないか。傲慢だが、その震えの音をもっと聴きたい。

Tonofon solo + Sweet Dreams 2014 @町田 しぜんの国保育園 small village

10月26日。今年の個人的ベストアルバム候補に挙がる『Where shine new lights』のタラ・ジェイン・オニール、そしてmmmを観られて本当によかった。タラは3月の来日がポシャっていた、mmmはカムバックが嬉しかったというので下駄を履いたところはあるが、それを差し引いても素晴らしかった。それから「新曲の部屋」を初めて生で観られたのも面白い体験だった。最終的に、他のお客さんと一緒にコーラスまでやらせてもらえたし。

二階堂和美 meets 渋谷毅オーケストラ @渋谷WWW

11月15日。またWWWだ! 細かい感想については当日の連ツイートを参照されたい(甘藍 a.k.a. キャベツ(@kanran)/2014年11月15日 - Twilog)。それぞれのパフォーマンスも素晴らしかったし、小沢健二『大人になれば』のカバーも聴けたし……土井さんのライブを抜きにすれば文句なしに今年のベストライブと言っていた、奇跡のような夜だった。

NRQ × 王舟 @久喜カフェクウワ

演奏もさることながら、会場全体の雰囲気が最高だった。クウワには初めて行ったのだが、友達の家に集まってイイ音楽を聴く時のピースな感じと、ライブのスペシャルさが入り混じった感覚があった。
NRQは、去年ライジングから帰ってきたその日にシュークリーム・エコーで観たっきり。相変わらず演奏はファンタジックだし、演奏してない時の佇まいまでカッコイイ。ワンマンを映像化して、V6のDVDみたいにマルチアングルも欲しい。王舟の歌もバンドの演奏も気持ちよすぎて、一瞬寝てしまった(すいません)。でも、「まったくビジュアルイメージがないまま聴いたら、もしかして「2010年代の邦楽盤」と分からないかもしれない、ただ間違いなくいい歌」がどんどん歌われるのは本当に気持ちよかった。
NRQも王舟も、クウワのごはんのおいしさも、トイロックで知った。何度目か分かりませんが、サンキュータッツ。