キャベツは至る所に

感想文、小説、日記、キャベツ、まじめ twitter ⇒ @kanran

2020-01-01から1年間の記事一覧

『夜々の泡』

夜遅いホームで電車を待ちながら、ヘッドフォンで音楽を聴いていたら、自分とこの曲しかこの世には残されていない、と思った。 家へ帰ろうとしている。電車は遅れなく、この駅に近づいてきている。それなのに、「どこか」も「誰か」もこの世にはもうなくて、…

なぜか関西-4

ホテルで長く過ごしているうちに、会話の節々でつい、ホテルを指して「うち(家)」と言ってしまうようになった。まあこれは習慣の積み重ねによる素朴な変化だと思ったが、ルームキーのインロックをして初めて、自分の感覚がホテルを家と捉え始めていること…

なぜか関西-3

最近、音楽が全然聴けない。ノートパソコンとスマートフォンもあるので、ホテルにおいても、配信音源を買うことだって配信ライブを観ることだって出来る。ただ、そこに辿り着かない。正確に言うと、音楽を再生することはある。しかしそのとき聴くのは、それ…

なぜか関西-2

スマートフォンのGPSさえ使っていれば、旅先でも目的地に着ける。その頼りない自負は、梅田で仕事をするとなって簡単に打ちひしがれた。ホテルとオフィスを往復するために地下道を使うためだ。単純な往復の道のりだけなら簡単に覚えられたが、そこから外…

PICKY In thIs PandemIC - 3

← BACK TO PAGE 2 オ:何で今時、身銭を切って紙の本を刷るのかって話なんですけど……。今の情勢だからってのもあるんですけど、一回SNSから離れた所に自分の言葉を置いてみたい、っていうのがすごいあるんです。ぬるい交流だけ楽しむには、Twitterにしてもイ…

PICKY In thIs PandemIC - 2

← BACK TO PAGE 1 オ:今更なんですけど、マミヤさんって、どういう感じで飲食業界に入っていったんですか? マ:学生の時とかも、バイトは飲食のしかしてなくて。ラーメン屋とか居酒屋さんとか。食べることがまず好きだったから、美味しいものが作れるよう…

PICKY In thIs PandemIC - 1

このブログの管理人であるぼくことオオクマシュウと、久喜カフェクウワの店長であるマミヤジュンイチロウさんとの交流が生まれたのは、北浦和居酒屋ちどりのオープン間もない頃だった。浦和の酒飲みたちと共にちどりへ来ていたマミヤさんと初めてお会いして…

なぜか関西-1

数か月大阪に行くと話すと、次に会う時は関西弁だな、と言われた。一人ではなく、何人からか同じように。自分同様に大阪へ出張する人間としか、仕事の上での関わりがないと分かっていたので、そうはならないと思いますよと面白味のない受け答えをその都度し…

優しさと速さ

ウイルス感染を防ぐための措置だというのは分かるが、ワイドショーやバラエティのみならず、テレビドラマなどにおいても「キャストを別撮りして、あたかも登場人物たちがビデオ通話をしているように編集する」という演出が既に為され、放映されていることに…

走るべき人

あの人はどうして走っているのだろう、と思ったことがある。 先日、上野公園を歩いていて、走る人を見た時にそう思った。襟付きの長袖シャツを着て、スラックスと思しきものを穿いていた。日常的にハードな運動をしているような体型の人ではなく、小走りとい…